“世界初”のハイレゾ再生が可能なaptX HD対応をうたうLGのBluetoothイアフォン「HBS-1100」。2か月ほど使ってみたのでレビューです。もっとも、肝心のaptX HDでつながるのはLGのスマホ G5だけで、実機を使う機会は今のところありませんでした。ハイレゾ再生以外のレビューとなります。
まずは開封の儀
ボックスはこんな感じで高級感あふれています。まぁ、使い勝手には何の影響もありませんが笑。
“人間が使いやすい” デザインに好感
これが本体で首にかけて使います。左側には音量ジョグスイッチと通話ボタン。
右側には再生、一時停止、早送り早戻しボタンなどが配置され1週間も使っていると見ずに操作できるようになります。
このところ、デザイン重視で物理ボタンを極力無くして、一つのボタンを長押ししたりマルチタップしたりすることで複数の機能を割り当てている製品をよく目にします。
見た目はすっきりして格好良いですが、私の場合、操作の方法を覚えるのに難儀して、よく使う曲送りの機能ですら「あれ、どうするんだっけ・・・」と戸惑ってしまいます。
一方、HBS1100のように機能とボタンが1:1で対応していた方が使い勝手ははるかに良いですね。
筆 者
有線タイプのものは、まず、左右を確かめるのがストレスだったりで、しかも「L」とか「R」の文字が小さいと識別に時間がかかってイライラが加速します。
ささいなことですが、引き出してそのまま耳に入れるという「流れ」がとても人間工学にかなっていてます。
Bluetoothイアフォンとしての基本機能は優秀
私はiPhone7とBluetoothでつないで使っています。Bluetoothのバージョンは4.1準拠していて、反応はすこぶる良くほぼ一瞬で繋がります。このレスポンスは、搭載しているチップに影響されるようで、良いものを使っていると感じます。
また、通信の距離も通常の使用においてまったく問題なく、音が途切れたりすることもありません。
価格が異常に安く質の悪いBluetoothイアフォンの中には、ポケットに入れていても接続が切れたり、音が飛んだりするものがあります。
この製品はそうした心配もなく、ランニングで使ってもプチプチすることなく快適に使えました。スマホを机に置いたまま部屋をうろうろしても音が切れませんので、かなり通信距離が長いように思います。
iOSとAndroid向けにスマホ用のアプリも用意されています。
ボイスメモ機能や、機能の設定、操作方法をまとめた説明書の閲覧がアプリ側から行えます。本体のボタンをちまちまと押すのではなく、広いスマホの画面から設定ができるのは便利ですね。
音質に絶句 低音がスカスカ
さて、基本性能はクリアしていることを確認したら、次は肝心の「音質」のチェックです。
初めにiPhoneに入っていた曲をザーッと色んなジャンルの曲を聞いてみると、あまりにも低音が出ないので「何かの間違いじゃないか」とびっくりします。
iPhone側のイコライザー機能で「バス強調」してみても、低音があまりにも弱すぎてシャリシャリとした高音域の音しか聞こえません。
これはまいった・・・。私は、低音が強調された音作りはむしろ嫌いな方ですが、これだと「低音がほとんど聞こえない」レベルです。耳に入れるドライバー部分があまりにも小さいので、開封した時に「大丈夫かよこれ・・」と不安がよぎったのが的中しました。
もとより「ハイレゾ」対応には懐疑的というか期待していませんでしたが、いくらなんでも音質を前面に出した商品としては失望ものです。“Harman/Kardon社のサウンドチューニング技術”とやらはどこに行ったのでしょうか。
あえて言えば、iPhoneに初めから付属している有線のイアファンの方がもっと自然な音が出ます。
とはいえ、せっかく買ったので、窓から放り投げたい気持ちをおさえながらしばらく日常使いしてみることにしました。
慣れると疲れない音だが・・
2か月ほど使っていると、低音不足は次第に気にならなくなってきました。
歩行時や電車、カフェなどでは、じっくり音楽を「聴く」というよりは「聞き流す」というシチュエーションの方が多いですよね。
私の場合は、音量もさほど上げずバックグラウンドで「何か音楽が流れていれば良い」というカジュアルユースなので、結果的にこのHBS-1100でも目的は達せられています。
ヘッドバンド型のBluetoothイアフォンもかつて使っていたのですが、このネックバンド型の方が、耳に負担がかからないため、装着しているのを忘れられます。また、音がたいしたことないというか、存在感がないので(!)で「疲れない」というメリットはあります。
ただ、いかんせん不自然なまでに低音が出ないのは、2か月経っても残念なままです。
じゃあ、高音は伸びやかで素晴らしいのか?といったらそれも否です。中音域もよく定まらず、音が前に出て来ない感じがします。
ところで、冒頭でも書きましたがこの製品の最大の売りは、48kHz/24bitのハイレゾ伝送を可能とする「aptX HD」コーデックに対応している点です。iPhone7はこの「aptX HD」に対応していないので、レビューとしては不完全な点をご了承ください。
ただ、私が感じた音質については、コーデックによるものというより設計によるものが大きいと思います。そのため、たとえaptX HDでつないだとしても、音質が劇的に変わるとは思えません。
もしHBS-1100の購入を検討されているのであれば、必ず店頭などで試聴をおすすめします。結論として、私にとっては「残念!」の一言です。次の候補を探します。